介護事業所を経営されているみなさん、「介護職員の離職率は高くて当たり前」とお考えではないでしょうか?職員の採用と定着は介護業界の大きな課題となっています。前回は介護労働者の就業実態をみていきました。
(こちらhttp://www.iryokaigo.jp/kaigo20160413/)
今回は財団法人介護労働安定センターによる統計調査、平成26年度「介護労働実態調査」の結果を参考に、介護労働者の就業意識をまとめてみました。
ぜひご自分の職場の状況と比べてみてください!
仕事についての考え方
今の仕事に対する考えや、継続意思はどのようになっているのでしょう?
1-1.仕事を選んだ理由
最も多かった理由は「働きがいのある仕事だと思ったから」という結果でした。
その他「資格・技能が活かせる」「今後もニーズが高まる」などが上位にあげられました。
1-2.現在の仕事の満足度
現在の仕事に対する満足度はこのようになりました。
半数以上の人が、「仕事の内容・やりがい」については満足していることが分かりました。一方で「賃金」に対する満足度が低いことが明らかになりました。
1-3.今の仕事の継続意思
「賃金」などいくつかの項目の満足度が低いことが分かりました。
では今の仕事をどのくらい続けていく意思があるのでしょう?結果はこちらになります。
「働き続けられるかぎり続けたい」とお考えの方が、半数を占めることが分かりました。具体的な数字をあげている方の中では、「3~5年続けたい」という答えが12.4%で上位になりました。
働く上での悩み、不安、不満等について
「離職率が高い・・・」「職員が定着しない・・・」とお悩みの方も多いかと思いますが、職員の方はどのような悩みを抱えているのでしょうか?
労働者自身の状況について
職員の方の抱える悩み、不安を紹介しました。ではその方々はどのような状況のもと、今の仕事に就いているのでしょうか。職場の選び方、また自身の介護状況などをみていきます。
3-1.前職のある人の状況
「今の職場の前に何の仕事に就いていたか?」という質問に対して、全体の約56%の方が「介護の仕事」と答えました。正規・非正規関係なく、半数以上の方が転職しても介護の仕事を続けていることが分かりました。
「介護の仕事」と答えた方の、以前の職場の勤続年数はこちらです。
5年以上勤続されていた方が約30%となっています。
一方で、1年程で退職されている方が約50%を占める結果となっています。
3-2.直前の介護の仕事を辞めた理由
直前の職場を退職された理由はこちらになります。
内部的な理由の中では「人間関係」「理念や運営のあり方」というものが上位にあげられました。
3-3.現在の法人に就職した理由
上記のような理由で以前の職場を退職されていますが、では現在の職場(法人)への就職の決め手となって理由は何でしょう?
3-4.家族の介護
仕事や職場への不満、賃金等に関係なく退職理由となるものの1つに「自身の介護」の問題があげられます。職員自身の家族、親族等の介護の状況はどのようになっているのでしょう?現在の状況はこちらになります。
約42%の方が「現在、介護している」「ここ数年のうちに、可能性がある」と答えました。
今後、職員自身が介護をする必要になった場合、今の仕事と両立できるのでしょうか?結果はこのようになっています。
約60%もの方が「両立できない」と答えています。職場は職員の介護に対してどのような対策を行っているのでしょうか?勤務先の介護に対する状況についての答えがこちらになります。
全ての項目で「両立できる」と答えた方の割合が高くなりました。
まとめ
今後、職員が定着し長く働ける環境をつくっていくためには、職員自身が介護をする状況になった時に、仕事を辞めなくても良い対応策を確立していく必要があるのではないでしょうか。
※各グラフは、公益財団法人介護労働安定センターのデータを元に作成しました。