【ニュース振り返り】診療報酬・介護報酬改定の方針が明らかに!2017年11月のニュース5選

2017年11月に起きた医療介護のニュースをプロアスオフィシャルブログ編集部が振り返ります。その中から特に気になったニュース5選をご紹介します。11月度は、18年度診療報酬改定に向け、具体的な方針が徐々に明らかになってきました。そんな11月のニュースを一気に振り返ってみましょう。

在宅医療、ICT活用を評価!2018年度診療報酬改定基本骨子案が示される(11/24)

厚生労働省は、社会保障審議会の医療部会と医療保険部会に対し、2018年度診療報酬の基本骨子案を示しました。次回部会が開催される12月上旬ごろ、基本方針をまとめる予定です。

骨子では、大きな方針として4点が示されています。一つ目は、「地域包括ケアシステムの構築」。可能な限り住み慣れた地域で自立した生活が送れるよう、医療・介護など多職種が連携しサポートする取り組みを強化することが示されており、かかりつけ医師・薬剤師や、訪問診療について評価すると明記されています。

二つ目は、「新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実」。医療の質向上の一例としてICTを活用した遠隔診療を評価することが明言されています。

そのほかに、チーム医療の実現などによって医療従事者の負担を軽減する「医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」、後発医薬品の使用推進など医療費削減を目指す「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」が重点的な課題として示されました。

厚生労働省:平成30年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)

薬価も抜本的改革!医療費、最大2900億円削減に向けて改革案を公表(11/22)

厚生労働省は、薬価制度の抜本的な改革案を発表しました。現在2年に一度行っている薬価改定を2021年度から毎年実施するほか、先発薬の薬価を6年間で後発薬の水準まで下げることで、薬価の高止まりを抑制します。これにより、医療費を最大2900億円程度削減できると試算されています。

薬価改定については、現行制度では2年に一度の改定となりますが、価格が下がりにくく医療費や国民の負担が増えることから、毎年改定されることとなりました。すべての医薬品が毎年改定となるわけではありませんが、対象の医薬品を可能な限り増やす方針を政府が示しています。なお、2900億円削減を目指す場合は、全体の約5割を毎年改定する必要があるとのことです。

また、特許がすでに切れており、かつ後発薬への切り替えが8割を超える先発薬の薬価を段階的に下げ、6年後には後発薬と同じ水準までに下げるほか、画期的な新薬に一定期間薬価の維持を認める「新薬創出加算」の対象となる医薬品を絞り込むなど、先発薬の薬価適正化に向けた方針も示されました。

これらの案は、中央社会保険医療協議会で議論されたのち、年内に正式決定されます。

厚生労働省:中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第140回)

介護報酬改定のポイントは「メリハリ」。介護報酬改定の方針が明らかに(11/1)

厚生労働省は、社会保障審議会・介護給付費分科会で、18年度介護報酬改定の議論を進めています。人手不足が深刻な中で報酬をただ引き下げるのではなく、評価すべきサービスには報酬を手厚くするなど、メリハリをつけて評価することとなります。

加算される一例として、要介護者に「自立支援」を行った場合が挙げられます。具体的には、特別養護老人ホームなどでオムツを利用する入居者がオムツなしで生活できるようになった場合などは、点数が加算される見込みです。

一方、減算される例としては、マンションなどの集合住宅で大規模に介護サービスを提供する場合が該当します。移動にかかる負担が通常より少ないことから、減算の対象となります。そのほかに、訪問介護で掃除や洗濯などの生活支援を行う職員の人員要件を緩和し、短期研修の修了者でもサービスを提供できるようになります。現行制度ではヘルパーなどの資格が必要ですが、専門性が低い職員でも対応できるようになるため、事業者への報酬は引き下げられる見通しです。

厚生労働省:第149回社会保障審議会介護給付費分科会資料

医療機関の経営状況悪化…病院の利益率は4.2%赤字(11/8)

厚生労働省が2016年に行った医療経済実態調査の結果が公表されました。一般病院の利益率は、平成27年度調査の▲3.7%からさらに悪化し、▲4.2%となったほか、精神科病院も赤字になるなど、厳しい経営状況となっています。

中央社会保険医療協議会の見解によると、一般病院については職員一人当たりの給与は前年から横ばいまたはマイナスとなりますが、多職種の雇用や人員増により、人件費がかさんでいることが一因とのことです。また、人件費による負担が増していることにより、設備投資を控えている傾向も見られます。

高齢化による医療ニーズはますます高まっており、在宅医療の推進など地域医療の重要性も増しています。しかし、小規模病院の経営状況の悪さが特に深刻とのことで、地域の小さな病院が身近な存在として役割を果たすことができるのか、危機的な状況にあるといえます。

18年度診療報酬改定では、医師の人件費などが該当する診療報酬の本体についても見直し対象となるといわれています。しかし、この調査結果からわかるように病院の経営状況は厳しく、日本医師会などは診療報酬引き上げを要求すると考えられます。18年度診療報酬改定がどのような形で決着するのか。要注目です。

厚生労働省 第21回中医協医療経済実態調査(医療機関等調査)結果報告に対する見解

インフルエンザ流行の兆し…12月初旬には流行が本格化(11/24)

国立感染症研究所の調査によると、11月19日までの一週間で、全国の定点医療機関を受診した患者数が1医療機関あたり0.77人(患者報告数3,799人)となり、一般的に流行していることを表す「1人」に近づいていることがわかりました。学級閉鎖する学校が全国ですでに出始めているほか、沖縄県、長崎県など、1医療機関あたりの患者数がすでに1人を超える自治体も現れており、12月初旬には全国的に本格的な流行が始まる予想です。

以前ブログでもご紹介しましたが、今年度のインフルエンザワクチンの製造量は、過去8年間で最低の2528万本程度となる見通しで、厚生労働省は13歳以上の接種を原則1回とするなど、効率的な使用を徹底することを訴えています。東京都保険医協会が会員に行った調査では、都内744件の医療機関のうち、65%がワクチンが足りないと回答しており、現場での混乱がうかがえます。

12月にはワクチンの供給量も安定する見込みとのことですが、流行の兆しがみられる今から、手洗い、うがいを徹底するなど、健康管理をしっかりすることが必要です。

国立感染症研究所:インフルエンザ流行マップ

東京都保険医協会:インフルエンザワクチン緊急アンケート

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