【2017年4月2日施行】“地域医療連携推進法人制度”とは?制度詳細とメリットを整理

本年4月2日に施行される“地域医療連携推進法人制度”はご存知ですか?

平成27年9月28日に公布された「医療法の一部を改正する法律」により医療法が改正され、地域医療連携推進法人制度の創設が決定しました。
またこれに伴い、「医療法施行令の一部を改正する政令」および「医療法施行規則の一部を改正する省令」が公布されました。

今回は制度の中身について分かりやすく説明します!みなさんの環境がどのように変化するのかみてみましょう。

“地域医療連携推進法人制度”が設立された背景

近年高齢化が著しく進み、患者の疾病構造も多様化してきています。これに伴い、患者一人ひとりが各々の症状に合った、良質で適切な医療を安心して受けることができる体制を地域で構築することが求められています。

平成26年には医療法が改正され(=第7次改正医療法)、それに基づき、平成27年度から各都道府県において地域医療構想の策定を進め、医療提供体制の整備を図ることとされています。

その達成の一つの選択肢として、地域の医療機関相互間の機能の分担・連携を推進し、質の高い医療を効率的に提供するための新たな制度として設立されたのがこの、“地域医療連携推進法人制度”です。

※地域医療構想 
「医療介護総合確保推進法」により、平成27年4月より都道府県において策定。
2025年に向け、病床の機能分化・連携を進めるために医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量と、目指すべき医療提供体制を実現するための施策を定めるもの。

 

“地域医療連携推進法人制度”とはどんな制度?

“地域医療連携推進法人制度”とは、2次医療圏を原則とする地域内の複数の医療法人などが参画して法人をつくり、複数の医療機関や介護施設を統一的な方針の下で、一体的に運営することができる制度です。

制度設立の大きな目的は、地域の医療機関同士の連携強化です。医療機関の競争ではなく、協調を進めることで質の高い効率的な医療供給体制を確保することを目指しています。
地域医療連携推進法人には介護事業等を実施する非営利法人も参加することができます。そのため介護との連携も図りながら、地域医療構想の達成および地域包括ケアシステムの構築に資する役割を果たすものと考えられています。

それでは、ポイントごとに制度の詳細を紹介します。

 

法人格

・地域の医療機関等を開設する複数の医療法人その他の非営利法人の連携を目的とする一般社団法人について、都道府県知事が「地域医療連携推進法人」として認定する

 

参加法人

・地域で医療機関を開設する複数の医療法人その他の非営利法人を
参加法人とすることを必須とする
・地域医療連携推進法人の定款の定めるところにより、地域包括
ケアの推進のために、介護事業その他地域包括ケアの推進に資する事業を行う非営利法人を参加法人とすることができる
・営利法人を参加法人、社員とすることは認めない

 

業務内容

・統一的な連携推進方針(医療機能の分化の方針、各医療機関の連携の方針等)の決定
・病床再編(病床数の融通)、患者情報の一元化、キャリアパスの構築、医師・看護師等の共同研修、医療機器等の共同利用、病院開設、資金貸付等
・関連事業を行う株式会社(医薬品の共同購入等)を保有できる

 

ガバナンス

・社員の議決権は各一個とするが、不当に差別的な取扱いをしない等の条件で、定款で 定めることが出来る
・参加法人の事業計画等の重要事項について、意見を聴取し、指導または承認を行うことが出来る
・理事長は、その業務の重要性に鑑み、都道府県知事の認可を要件とする
・地域医療連携推進協議会の意見を尊重するとともに、地域関係者を理事に加えて、地域の意見を反映
・営利法人役職員を役員・社員にしないこととするとともに、剰余金の配当も禁止して非営利性の確保を図る
・外部監査等を実施して透明性を確保する
・都道府県知事が、都道府県医療審議会の意見に沿って、認可・監督を行う

 

地域医療連携推進法人制度によって実現できること(メリット)

では実際に、病院・介護事業者にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

地域医療連携推進法人制度が設立されることによって、実際にできるようになることを「経営効率の向上」と「地域医療・地域包括ケアの推進」の面からみてみましょう。

経営効率の向上

① スケールメリット化
複数の病院等が統括し、生まれたブランド力によって価格交渉力を獲得できる。
 医薬品・医療機器等の共同購入が可能になる。

② 人員の適正配置
人事の一元化によって適正な人種、人数を配置することができる。

③ 在宅医療、在宅介護等に新たに進出
グループ内の情報共有によって、ノウハウや資金を入手することができる。

④ 資金貸付
参加法人が病院等に関する業務を行うために必要な資金を調達するための資金として、資金貸付、債務の保証および基金を引き受ける者の募集を行うことができる。

⑤ コスト削減
庶務業務をグループ内で統一することによって、コスト削減ができる。

地域医療・地域包括ケアの推進

① 患者紹介・逆紹介の円滑化
患者、要介護者情報を一元的管理することにより、グループ病院や介護事業所の相談、  紹介を円滑に行うことができる。

② 統一カルテによる効率の良い患者管理
カルテ等システムを統一することによって、重複した検査を省略できる。
また退院支援や退院調整のルール、救援受入ルールを策定することによって急変時に円滑な対応ができる。

③ スタッフの定着率向上
人員の適正配置によって、医師、看護師、介護福祉士等のキャリアパスが構築でき定着率が向上する。

③診療科(病床)の再編成
病床過剰地域において、病床融通を実施することができる。
都道府県に参加法人が開設許可の申請や病床数の増加等の申請をする場合、地域医療構想 の達成のために必要な病床融通を、参加法人で行うことが可能。

 

2025年問題を解決する手助けになる?!今後の動向に期待

“地域医療連携推進法人制度”の創設によるメリットを紹介しました。
グループ化し地域医療を支えることで、2025年問題の対応策とされる「地域包括ケアシステム」の構築の大きな力となります。
とはいえ実際に法人を運営するには、グループ内の統制、制度の変化にかかる労力や資金など、数え切れない課題があると考えられます。

施行後も、みなさんの地域の動向や情報に注目していくことが大切です。

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