【ニュース振り返り】診療報酬・介護報酬改定の方針、ついに確定!2017年12月のニュース5選

2017年12月に起きた医療介護のニュースをプロアスオフィシャルブログ編集部が振り返り、その中から特に気になったニュース5選をご紹介します。12月度は、18年度診療報酬改定の方針がついにまとまり、新制度の大枠が明らかになりました。そんな12月のニュースを一気に振り返ってみましょう。

2018年度診療報酬改定、0.9%引き下げでまとまる(12/18)

2018年度診療報酬の改定について、診療報酬全体で0.9%引き下げることでまとまりました。医師の人件費や技術料にあたる「本体」については0.55%引き上げられる一方で、薬や医療材料の公定価格である薬価については1.74%引き下げとなります。なお、診療報酬全体の引き下げは2回連続、本体部分の報酬引き上げは6回連続となり、薬価の大幅引き下げによってマイナス改定に調整されたことになります。

人件費の増加などが原因で、医療機関の経営状況が悪化していることを過去のブログでもご紹介しましたが、診療報酬本体のプラス改定によってこの問題の改善が期待されます。その一方で、保険料など患者側の負担は増えることとなります。

薬価の大幅引き下げによって、社会保障費の1300億円を削減、という政府目標を達成できる試算となりますが、「制度の持続可能性」について考える場合、診療報酬制度の在り方について今後より深い議論をする必要がありそうです。

また、評価の詳細については、以前示された骨子の通り、「地域包括ケアシステムの構築」、「新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実」、「医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」、「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」が重点的な課題として示されています。具体的には、在宅医療、遠隔診療などが新たに評価されることとなったほか、薬価制度の抜本的な見直しが行われる予定です。

診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定について

厚生労働省:平成30年度診療報酬改定について

介護報酬、0.54%プラス改定でまとまる(12/18)

診療報酬と同時改定となった介護報酬は、0.54%引き上げられるとの方針が示されました。

介護事業者の経営状況については、厚生労働省の調査で、全サービス平均で3.3%と黒字となった一方で、2014年度の前回調査時(7.8%)と比較し利益率が低下していることがわかっています。介護報酬改定によって事業者の収益が増え、従業員の待遇が改善することが考えられますが、利用者や国民の負担は増えることとなります。

算定の詳細については2018年1月以降決定することとなりますが、以前のブログでご紹介したように、評価すべきサービスには報酬を手厚く、効率化できるサービスは報酬を下げる、といったメリハリをつけた算定になることが予想されます。具体例を挙げると、要介護者に「自立支援」を行った場合や、業務効率化の一環として見守り用の介護ロボットを使用した場合は加算、マンションなどの集合住宅で大規模に介護サービスを提供する場合は減算される、といった形になります。

診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定について

厚生労働省:平成 30 年度介護報酬改定に関する審議報告

「医療的ケア児の支援」が加算対象に!障害福祉サービス等報酬0.47%プラス改定で確定(12/18)

診療報酬、介護報酬と同時に改定となった障害福祉サービス等報酬については、0.47%プラス改定となることが明らかになりました。

今回の改定で新たに報酬加算されるのは、障害者の一人暮らしを支援する「自立生活援助」。一人暮らしを希望する障害者を一定期間、定期的に訪問することで生活のサポートをするサービスです。また、障害者が一般企業で就労し定着できるようにサポートする「就労定着支援」についても、今回改定で新設されました。

さらに、医療的ケア児の支援についても、評価基準が示されました。医療的ケア児とは、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な障害児のことで、厚生労働省によると全国で約1.7万人いると推計されています。

今回の改定で事業所に看護職員を配置・増員した場合、報酬が加算されることとなり、医療ケア児を受け入れる施設が増えることが期待されます。

ほかに、重度の障害などによって外出ができない障害児の自宅を訪問し、発達支援を行う「居宅訪問型児童発達支援」についても新基準が設定され、保育士などを訪問支援員として配置した場合点数が加算されることとなります。

診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定について

平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について

医師数が過去最多の31万9480人…しかし地域格差は依然大きいまま(12/14)

厚生労働省が行った「医師・歯科医師・薬剤師調査」で、2016年末時点の医師の総数が過去最多の31万9480人となることがわかりました。一方、人口10万人当たりの医師数では、最多の徳島県が315.9 人に対し、最も少ない埼玉県が160.1 人となり、1.97倍の開きがあることがわかります。前回2014年調査時は約2.02倍の格差があったことから、状況は改善されているようですが、以前格差は大きいままとなっています。

医師数が地域によって偏りがみられる現状を踏まえ、厚生労働省は、一定規模以上での院長になる際の必要要件として、医師が不足する地域での勤務経験があることを求める方針を示しています。また、医師が不足する地域で一定期間以上勤務した医師を厚生労働大臣が認定する制度を新設し、認定された医師や派遣した医療機関が、税制、補助金、診療報酬上の評価につながるような仕組みをつくることを検討しています。

厚生労働省:平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況

厚生労働省:医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第17回)

平均寿命、男性は滋賀県、女性は長野県が最長(12/13)

厚生労働省が、都道府県別の平均寿命についての調査結果を公表しました。男性の1位は、前回平成22年調査の際に2位だった滋賀県で80.77歳。女性は、前回調査と同じ、長野県が1位で87.67歳となります。最も低いのは男女とも青森県でした。なお、全国平均は男性が 80.77 年、女性が 87.01 年でした。

ちなみに、他の国と比較した場合はどうなるのでしょうか。世界経済フォーラムの報告によると、日本の平均寿命は83.8歳であり、第2位。対象となった137か国の中では、香港に次ぐ長さとなります。

厚生労働省:平成27年都道府県別生命表の概況

WORLD ECONOMIC FORUM: Global Competitiveness Index 2017-2018, 4.08 Life expectancy

 

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