【ニュース振り返り】診療報酬改定&在宅医療がポイント!2017年10月のニュース5選

2017年10月に起きた医療介護のニュースをプロアスオフィシャルブログ編集部が振り返ります。その中からとくに気になったニュース5選をご紹介します。10月度は、18年度診療報酬改定に向け、新たな動きがみられました。これにともない、在宅医療も新たな動向が予想されます。要注目ですね!そんな10月のニュースを一気に振り返ってみましょう。

2018年度診療報酬・介護報酬のW改定に向けた議論がスタート(10/25)

財務省と厚生労働省は、2018年度診療報酬と介護報酬の改定に向けた検討を開始しました。同時改定となるのは6年ぶりで、超高齢化社会を迎えた後も制度を維持するために、医療・介護について大幅に見直すこととなりそうです。

今回の改訂のポイントは「みとり」。医療・介護とで連携しサポートすることで、安心して自宅で最期を迎える「在宅医療」を推進することが明示されました。現制度は、入院病床をそろえた医療機関が診療報酬を多くもらえることとなっていますが、今回の改定でこれらへの報酬を減らし、在宅医療にかかるサービスには増やすなど、算定によって在宅医療を支援することを検討するとのことです。介護報酬においても、高齢者の自立支援に取り組む事業者への報酬を加算することを検討するとのことです。

財務省は2018年度の診療報酬改定で1兆円以上の削減を、介護報酬についてもマイナス改訂を提示しています。しかし、日本医師会や厚生労働省などとの対立は避けられないと考えられ、今後の動向が注目されます。

インフルエンザワクチンが不足するかも?昨年製造量を下回る見通し(10/7)

今年度のインフルエンザワクチンの製造量が、昨年度に実際に使用された量を114万本ほど下回る、2528万本程度となることがわかりました。これは過去8年間で最低の製造量となります。

2017年5月に製造を決めた株のうまく増殖せず、7月に株を変更したことによって製造が遅れたことが要因とのことです。厚生労働省は、ワクチン確保のため、13歳以上の接種を原則1回とすることや、医療機関の必要以上の買い占めを防ぐことなど、効率的な接種を徹底することを求める通知を発出しました。過去10年ほどの実績では例年の使用量は2500万本程度であり、大幅に不足することは考えにくいですが、接種希望者が増える11~12月ごろにワクチンが不足する可能性があるとのことです。

毎年11月下旬ごろから流行し始めるインフルエンザですが、10月時点で沖縄県など主に西日本で患者が増え始めており、早くも流行の兆しが見られます。本格的な流行に備えるために、接種希望の方は時期についてかかりつけ医に早めに相談しましょう。

厚生労働省 季節性インフルエンザワクチンの供給について

介護サービス事業者の利益率が低下…利益率は平均3.3%(10/26)

介護事業者の経営状況について厚生労働省が調査した結果、利益率が低下していることがわかりました。

全国約1万5000事業所について利益率の調査を行った結果、2016年度の利益率は、全サービス平均で3.3%と黒字となりましたが、2014年度の前回調査時(7.8%)と比較し、4ポイント低くなっています。

また、老人ホームなどの「施設」、在宅介護などの「地域密着型」など、22種のサービスごとの利益率についてみてみると、22のサービスのうちほとんどは黒字となったものの、19で利益率が減少しています。中でも特別養護老人ホームについては1.6%と、前回と比較して7.1ポイント下がりました。利用者が多いデイサービス事業についても、利益率は4.9%となり、前回よりも6.5ポイントも下がっています。2015年度改定の際には、利益率が高いことから介護報酬がマイナス改定されました。これに加えて人材不足によって人件費が上昇しているが要因と考えられます。

このように、介護事業の経営状況が悪化していることから、厚生労働省や介護事業者は、介護報酬のマイナス改訂に難色を示しています。検討が始まったばかりの18年度介護報酬改定にも影響がありそうです。

厚生労働省 介護事業経営実態調査

在宅死の市区町村格差が明らかに…離島では割合高、中核市では最大2.9倍の開き(10/20)

厚生労働省は、2016年に自宅で最期を迎えた在宅死について、市区町村ごとの調査結果を公表しました。2016年の人口動態統計によると、在宅死の割合は全国平均13.0%でした。市区町村別にみると、首位は東京都小笠原村(60%)。上位は離島や過疎地が占めます。政令指定都市などの大都市では10%台が多く、在宅死の割合はそれほど高くないようです。

今回の調査では、孤独死など、看取り以外の在宅死も含まれることから、正確な普及状況はわかりませんが、在宅医療の普及状況に地域格差があると考えられます。東京、大阪などの都市圏では2025年までに高齢者が大幅に増加する予想で、すみやかに在宅医療の環境を整備する必要がありそうです。

2012年の調査で、55%の方が「自宅」で最期を迎えたいと答えているという現状から、政府は在宅医療を推進しています。24日に公表された平成29年版厚生労働白書でも、在宅医療・介護を一体的に提供できる体制の構築が必要であると明記されました。在宅医療の今後の動向が注目されます。

在宅医療にかかる地域別データ集

平成29年版厚生労働白書 -社会保障と経済成長-

介護ロボット開発の後押しに。厚労省・経産省、「ロボット技術の介護利用における重点分野」改訂(10/12)

厚生労働省と経済産業省は、2012年に策定した「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました。今回の改定で、今後開発に取り組むべき重点的分野として、排せつや移動をサポートする技術や、コミュニケーションを通して生活支援する技術などが新たに指定されました。また、介護利用者をサポートする技術だけでなく、AIやIoTを活用し、複数のロボットから排せつ、移動、見守りなどの介護情報を集め記録を作成する介護業務支援分野など、介護者の負担を軽くする技術も新たに指定されています。

介護ロボットは、深刻な人材不足が問題視される介護現場で、職員の負担を減らす存在として期待されており、国は2020年の国内市場規模を500億円に拡大することを目指しています。また、導入18年度介護報酬改定で介護報酬見直しの対象になることが閣議決定するなど、今後普及が加速することが予想されます。介護職員の働き方が大きく変わるきっかけとなるかもしれません。

ロボット技術の介護利用における重点分野

厚生労働省 高齢者介護における介護ロボットの活用について

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