【ニュース振り返り】診療報酬ついに確定!高齢者の医薬品適正使用&遠隔診療ガイドライン作成される!2018年2月のニュース5選

2018年2月に起きた医療介護のニュースをプロアスオフィシャルブログ編集部が振り返ります。その中から特に気になったニュース5選をご紹介します。2月度は、18年度診療報酬改定の詳細が決まったほか、今年度中に策定予定の新ガイドライン2種が登場しました。そんな2月のニュースを一気に振り返ってみましょう。

2018年度診療報酬改、改定項目と報酬点数がついに決定(2/7)

厚生労働省は、2月7日に行われた中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、2018年度診療報酬改定案を了承し、加藤厚生労働大臣に答申を行いました。これによって、4月からの新たな診療報酬の詳細が決まったことになります。

今回行われた総会では、個別改定項目と診療報酬点数がついに明らかになりました。これまでのブログでもご紹介しましたが、今回の診療報酬改定では、可能な限り住み慣れた地域で、自立した日常生活を営むことができるよう、「地域包括ケアシステムの構築」が基本方針のひとつとして示されています。

これに関連して、大きく改定されたのが「在宅医療」、「遠隔診療」についての報酬。これまで評価が十分でなく、医療機関が新規参入しづらいといわれていましたが、今回の改定で複数の算定項目が新設されました。また「看取り」についての評価も見直されています。

在宅医療について、今回新設された算定項目の一例をご紹介しましょう。現状では、他の医療機関から依頼を受けて訪問診療を行った場合、一つの医療機関のみが加算対象となります。今回新設された「在宅患者訪問診療料Ⅰ.2」は、依頼を受けた複数の医療機関が評価対象となるため、様々な病気を同時に罹患している患者が、専門の他の病院を受診したい場合なども連携しやすくなります。同一建物の居住者以外なら830点が加算されることとなります。

厚生労働省:中央社会保険医療協議会 総会(第389回) 議事次第

高齢者の多剤併用による副作用を防ぐ!新ガイドライン案が明らかに(2/21)

厚生労働省は、高齢者が複数の薬を摂取することで副作用が起こる「ポリファーマシー」を防ぎ、高齢者の薬物療法を適正化するためのガイドライン案を提示しました。3月に確定する予定となっています。

ポリファーマシーとは、多剤服用の中でも害をなすもののこと。高齢者の多くは、老化や生活習慣病などの疾患の治療、症状緩和のために、様々な薬を併用しています。厚労省の調査によると、75歳以上の高齢者の約1/4が7種類以上、4割が5種類以上の薬剤を処方されているとのことですが、多くの薬を併用すると薬同士で相互作用が起き、副作用が発生しやすくなります。

今回示された「高齢者の医薬品適正使用の指針」案では、医療機関が、患者が受診している診療科、医療機関、処方されている医薬品の全てを把握し、ふらつき・転倒、記憶障害など、見過ごされがちな副作用が現れた場合には、処方の中止・減量を行うことが求められています。

しかし、処方を減らすことで症状が悪化する場合もあることから、慎重な経過観察を行ったうえで、処方内容の見直しを行うこと、医師、薬剤師、看護師など様々な職種で情報を共有し、連携することが必要であると示されています。

そして、薬の多剤併用によって副作用が起きやすくなることを、患者自身が理解できるよう、きちんと説明を行うことも求められています。

厚生労働省:第3回高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ 資料

遠隔診療についてのガイドライン、年度内制定に向けて検討が始まる(2/8)

厚生労働省は、2月8日、遠隔診療「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」の初めての会合を開きました。いわゆる遠隔診療について、ガイドライン制定に向けた検討を行い、年度内に策定する予定です。

遠隔診療については、2015年8月に発出された事務連絡によって事実上解禁され、現在は、対面診療が原則であることに変わりはないものの、電子メールやSNSで行う場合についても、直ちに医師法違反にはならないとの見解が示されています。また、先ほどご紹介した通り、2018年度診療報酬改定で遠隔診療に関連した算定項目が新設され、普及に向けた環境整備が急速に進められています。

しかし、遠隔診療の場合、顔色や匂いなど対面によって得る情報が得られなくなることから、診察の質が落ちる可能性も否定できません。そこで、医療上の安全性・必要性等が担保された、適切な遠隔診療を普及するためのルール整備に向け、今回ガイドラインが作成されることとなりました。医療上の安全性の担保の観点で、情報通信機器を用いた診療を行う際の原則の明示されるほか、医療上の必要性・有効性の担保の観点から、情報通信機器を用いた診療が適している診療形態が例示されるとのことです。

また、今回のガイドラインでは、遠隔診療の名称についても明確に定義される予定です。現在、遠隔診療、オンライン診療、ICT診療など、様々な名称で呼ばれていますが、医師対患者(D to P)で行われる外来・在宅診療のうち、情報通信機器を用いた診療については「オンライン診療」と呼称される見込みです。

厚生労働省:第1回情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会

国民の半数以上は医療費の実態について知らない!?日本医療政策機構の調査で明らかに(2/8)

日本医療政策機構は、「2017年日本の医療に関する世論調査」の結果を公表しました。

この調査は、医療や医療政策課題等に関する国民の意識、意見を把握するために2006年から毎年実施されており、2017年調査については全国 20 歳以上の男女 1,000 人を対象に行われました。

医療制度に対する全般的な満足度は「大いに満足」、「やや満足」を合わせて 47.0%と、半数を下回っており、特に「制度決定への市民参加の度合い(制度に国民の声が反映されているか)」、「制度決定プロセスの公正さ・(制度をつくる過程の透明さ)」が 2割程度と低くなっています。

また、2015年度の国民医療費が、前年度比1.5兆円増の約42兆円となったことについて、「よく知っている」、「やや知っている」と回答した人が 46.3%となりました。半数以上は医療費の実態について知らないということになりますが、特に若い年代でその傾向が顕著に表れており、30代で64.5%、20代では78.2%が「あまり知らない」、「全く知らない」と回答しています。

この結果から、医療費が財政を圧迫している現状についてもあまり認知されていないことが予想されます。医療費が膨大な額となっていること、医療保険制度を維持するためには、医療費の削減が必要であるということを、国民にきちんと理解してもらえるよう、働きかける必要があると考えられます。

日本医療政策機構:(調査報告)「2017年 日本の医療に関する世論調査」

インフルエンザ流行、ピークを越える&スギ花粉の飛散が始まる(2/23)

国立感染症研究所は、インフルエンザの患者数が推計で約167万人となることを発表しました。定点医療機関当たりの報告数は29.65となり、2週連続で減少となったとのことです。大流行の指針となる1施設当たり30人を下回り、全国的な流行のピークは過ぎたのではないかと考えられますが、まだ全都道府県で警報レベルが継続していることから、引き続き注意する必要がありそうです。

そして、春先に向けて気になる、もう一つの疾患といえば「花粉症」。花粉情報協会によると、2月10日に神奈川県、静岡県で全国で初めてスギ花粉飛散が確認され、その後、関東、九州、中国地方での飛散開始が確認されました。

環境省の調査によると、今年度のスギ雄花の着花量(花粉生産量)は、昨年同時期と比較して全国的に昨年並みか多い状況となっており、飛散量についても多くなる見込みとのことです。花粉症の方にとって、今年もつらい春になりそうですね。

国立感染症研究所:インフルエンザ流行レベルマップ

日本アイティディ株式会社:花粉飛散開始情報

環境省:平成29年度スギ雄花花芽調査の結果について

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