4月25日、厚生労働省より「平成28年労働災害動向調査」の結果が発表されました。
過多なストレスや鬱病、腰痛をはじめとする肉体的疲労による離職も多く発生している医療・介護業界ですが他の産業に比べると、労働災害の発生頻度はどのくらいか知っていますか?
平成28年の労働災害状況のデータを中心に、その実態を紹介します。
調査概要【平成28年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)】
今回の調査は、主要産業における労働災害の発生状況を明らかにすることを目的として実施されました。
事業所調査は総合工事業を除く10人以上の常用労働者を雇用する全国の事業所を対象として年1回、総合工事業調査は総合工事業の工事現場を対象に半期ごとに年2回行われた結果になります。
調査範囲:全国
対象:事業著調査 約3万2,000事業所
総合工事業調査 約5,000工事現場
回答率:事業所調査 72.2% ※事業所規模100人以上の事業所
総合工事業調査 86.3%
※「労働災害」とは・・・
労働者が業務遂行中に業務に起因して受けた業務上の災害。
業務上の負傷、業務上の疾病および死亡のことを指します。
ただし、遅発性のもの(じん肺や鉛中毒症など)、通勤災害による負傷、疾病および死亡は除きます。
事業所調査における労働災害の発生状況【全産業】
平成28年の全産業の労働災害の発生状況をみてみましょう。
今回の調査では、3つの数値を算出しています。
度数率:労働災害の発生頻度を表す。
(100万延べ実労働時間あたりの労働災害による死傷者数)
強度率:労働災害の重さを表す。
(1,000延べ実労働時間あたりの延べ労働損失日数)
死傷者1人平均労働損失日数:労働災害による死傷者1人あたりの平均労働損失日数を表す。
発生頻度を表す度数率の推移はこのようになっています。
前年の1.61%に比べ、平成28年は1.63%と0.02%増加しています。
また強度率は前年は0.1%、平成28年は0.07%とこちらも増加しています。
死傷者1人平均労働損失日数は前年に41日から60日と、約20日も増加する結果となりました。
なお無災害事業所の割合は、59.4%となっています。前年は59.9%と多少減少気味ではありますが、以上のデータから、全産業においては労働災害の状況は悪化していることが分かります。
では医療、介護の業界はどうでしょうか?
医療・福祉分野における労働災害の状況
全産業における労働災害の状況は悪化していることが分かりました。次は産業別の労働災害状況を詳しくみてみます。
みなさんが運営する病院、介護施設等は「医療・福祉分野」に該当します。
※「医療・福祉」とは・・・
病院、一般診療所、保健所、健康相談施設、児童福祉事業、老人福祉・介護事業および障害者福祉事業に限ります。
産業別にみる労働災害の度数率(頻度)の上位3産業は下記になります。
農業・林業 4.31%
生活関連サービス・娯楽業 3.9%
宿泊業・飲食サービス業 3.28%
「医療・福祉」は1.39%でした。(前年より0.05%増加)
全産業の中では中位に位置し、「卸売業・小売業」よりは低く、「製造業」よりは高い発生頻度であるといえます。
「医療・福祉」の度数率と死傷者1人平均労働損失日数の推移はこちらになります。
まとめ ~医療・福祉の労働災害頻度は増加傾向あり~
今回の調査結果から、医療、介護、福祉の現場における労働災害の発生頻度は増加していることが分かりました。
以前には、介護職員の労災申請が5倍に急増しているというニュースもありました。(参考:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07H5L_X00C16A5CR8000/)
みなさんはこの結果をどのように感じますか?
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