接遇のプロに学ぶ!患者満足度と接遇の関係性(その2 実践編)

今回は、編集部に寄せらせたお問合せ(アンケート)の中から、ご希望の多かった「接遇」に関する情報第2弾をお伝えいたします。
専門家による「接遇の視点から見る患者満足度」についてご紹介いたします。

前回同様、医療・介護関係を専門に接遇・人材のプロフェッショナルとしてコンサルティング業務を行っておられる十川 美加 先生にお話を伺いました。

患者満足度と接遇の関係性 ~具体的なコツ「視覚」編~

まず私たちヒトの五感、うちの「視覚」「聴覚」を意識して感じてください。
感覚は個人差ありますが、患者さまは、具合が悪い方が多いので普段より感覚に対するストレス度は高いと思ってください。要は、敏感になっています。
健康な方でも敏感な方から、あまり気にならない大らかな方まで様々です。
そこで大事になってくるのが基準です。基準をどこに置くか?

「私の基準に合わせて!」ほしいですよね。
大らかな方は、そもそもあまりこだわらない、気にならないので、敏感な方を基準にするのが鉄則です。

【視覚】
見た目です。
医療機関は何といっても第一は清潔感です。掃除は行き届いてますか?
わたボコリ、外から上がった土や砂、これらはモップをかけても、1時間もするとすぐに目立ってきます。
床の色も濃い色でしたら特に目立ちます。まめなモップがけが必要ですね。

清掃は業者に依頼しているところも多いと思いますが、追いつかないのでスタッフが気が付いたらフロアに出てまめに動いた方が良いでしょう。
そうすると、清潔感が維持できますね。(その際、本や雑誌を定位置に片付ける、曲がっていたら直すなど整える。)
同時に患者さまへの挨拶、声掛けもできますね。
いつもお見えになっている患者さまへの気遣いの一言、長くお待ちの患者さまには「お待たせしております…」と一言声掛けがあるだけで、
患者さまからすると特別扱いしてもらっているような気がしますし、満足度はアップします。

この一連の動作、
受付の場合、カウンターからフロアに出て実践してみましょう。

①立ったままの視線でぐるっと見回します。
雑誌など備品類が椅子の上などに放置されていたら所定の位置に片付け整えます。
時間によって日差しがきつくなるとブラインドを下げる、雨が降り出したら傘立てや、傘袋を準備するなど。

②次に視線を下に向けます。
床にほこりやごみがあれば拾う、さっとモップかけをする。

③その間、患者さまに「おはようございます」「こんにちは」など挨拶をする。

以上、3つ全てしたとしても1分から3分以内。
1日10回しても、10分から30分です。
清潔感も維持でき、患者さまとのコミュニケーションも増えます。
こういった少しの気配りで現状を把握でき、不満を事前に察知することが可能になり、クレーム減少に繋がります。
難しい技術はいりません。小学生でも掃除、挨拶は学校で毎日しています。
要は億劫がらず動く、周りを見て気配りするということだけです。
これを習慣づけると、空間のおもてなしは、いい線いきます。

気配りは、ホスピタリティの重要な要素です。
あと、ひと声、挨拶プラス一言の声掛けができると、患者さま応対力のスキルもレベルアップします。
まずは1週間続けてみましょう。

鈍感では、患者さまに満足してもらうことは無理です。敏感になる、感性を磨くためにもお試しくださいね。

患者満足度と接遇の関係性 ~具体的なコツ「聴覚」編~

ここでいう「聴覚」とは耳から入る全てのものです。
耳を澄ましてください。普段様々な音の中で私たちはいます。
耳を澄ますという行為は、よっぽどでないとしないのでは…聴覚も視覚と同様、感じ方は様々です。
敏感な方に合わすということで、「耳を澄ましてください」なんですね。
よく聞こえる方、耳が遠い方、音の大きさだけでなく、高低も年齢によっても聴こえてくる音は違ってきます。

では、今、どんな音が聴こえていますか?
話し声、電話のベル、キーボードをたたく音、プリンター、シュレッダー、BGM、足音、引き出しの開け閉め、外からは車の音、選挙カーの候補者名の連呼…
あげるとキリがありません。

このように通常は音で溢れているのですが、
ホスピタリティを生み出すためには、なるべくそこから、生理的に不快と思う音を排除していく必要があるかと思います。
生理的に不快な音といっても、これも個人差ありますが、私の経験上、院内ラウンドをしていて、
特に気になる音は、「スタッフが不用意に出している音」です。

・足裏を床に擦って歩く音
・ドアやカーテンの雑な開け閉め
・引き出し、器具の雑な扱い
・電子カルテ入力など、キーボードを強くたたく音
・大きな声での会話など

どうでしょうか?思い当たることはありませんか?
音の大きさもさることながら、雑な行為によって発せられているので不快感に繋がっていることだと思います。

では、心地良い音とはどんな音でしょうか?
意図的に流すBGMであれば、水が流れる音、小鳥のさえずりなど癒し系のBGM、というのは狭い空間では効果的でしょうね。
それぞれの広さに合ったBGMの選択も工夫できますね。

忘れてはいけないホスピタリティを最も感じさせる心地良い音は、
「ドクターやスタッフが患者さまに掛ける声」です。
心地良い声、診察時など不安な気持ちに対しての声掛けですので、基本は優しい声です。
商談ではありませんので、元気良すぎる、迫力ありすぎは、緊張感を作り出します。
安心してもらうためにも、相手が聴こえる大きさで、声のトーンは高すぎず、優しい口調で、テンポはゆっくりめに話されることをおすすめします。
お待ちの患者さまをお呼びするときも、同様に大きすぎず優しい声でお呼びしましょう。

このように「聴覚」だけに絞って考えていくだけでも、ずいぶん心地良い空間づくりができること間違いありません。

ぜひ、お試しくださいね。

 

■ 講師ご紹介 ■
株式会社ウェルビーイング・ジャパン
コンサルタント 十川 美加 (そごう みか)
http://well-beingjp.com/consultant_staffs/consultant/265/
【専門領域】
CS向上コンサルティング
接客サービス、医療接遇を向上させるために必要な、チーム作りをサポート
上記に応じた接遇研修、クレーム応対研修、ビジネスでの印象力をアップさせるビジュアルマネジメント研修、コミュニケーション研修、会議研修など

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