接遇のプロに学ぶ!患者満足度と接遇の関係性(その1 心構え編)

医療介護経営オンライン編集部に寄せらせたお問合せ(アンケート)の中から、ご希望の多かった「接遇」に関する情報をお伝えいたします。専門家による「接遇の視点から見る患者満足度」についてご紹介いたします。

今回は、医療・介護関係を専門に接遇・人材のプロフェッショナルとしてコンサルティング業務を行っておられる十川美加 先生にお話を伺いました。

患者満足度と接遇の関係性~満足度アップのための心構え~

さっそくですが、皆さんにお聞きします。
医療機関で来院目的である診察以外で過ごす時間は、どういった時間ですか?

大抵の方は、「待っている時間」とおっしゃる方が多いでしょう。
その通り、大半は「診察」「検査」「会計」などの順番待ち、待ち時間など含め診療以外の時間です。
実は、患者さまの苦情ワースト1も「待ち時間」です。
そうすると待ち時間をいかに快適にすごしてもらうかも重要なポイントとなります。
医療機関も提供している多くの時間は一般的なサービス業と同じく、待ち時間も含め、より快適に過ごしてもらうための環境を提供する時間「おもてなし」の時間です。
診療を受けるために医療機関を利用するわけですが、その診療にたどりつくまでに、ホテルなどと同じく受付でお出迎えし、ご希望を聞き、メインである目的の診療を受診していただき、会計をしてお帰りになる。
このような一連の流れかと思います。繰り返しますが、大部分は診療以外の時間です。

ホテルを例に行動と感情の動きを考えてみましょう!

ホテルなど宴会会場をイメージしてみてください。
例えば結婚式に招待され、タクシーで向ったとします、

さあ、タクシーを降りてからイメージスタートです。
ベルボーイや、ホテルのスタッフの「いらっしゃいませ」の挨拶でお出迎えされました。
結婚式会場はどこか探しますね。迷わないように案内を掲示しています。わからない時はスタッフに聞きます。
すると、丁寧に案内もしくは説明があり迷わず会場に着きました。
結婚式会場についたら、邪魔になるコートなど手荷物をクロークに預けます。開始までの時間ウェルカムドリンクで待ち時間を過ごしたり椅子に座って休憩したり、あるいはうろうろしたりとお客様それぞれが思い思いの時間を過ごすことと思います。

さあ、そこで、タクシー降りて、ホテルのスタッフから挨拶がない、どうでしょうか?気分は悪いですね。
開始までの時間、待つスペースがない、雑然としているさらに、イライラ。さあやっと始まったはいいけど、飲み物がなくなってオーダーしたいのに、全く私を見てくれない無視状態。

医療機関は、主に診療など、医療行為をすることですが、大抵は、予約をしていたとしても、受付、会計、前の患者待ちなどで診療以外の時間の方が長いですね。
先のホテルの例と同じように、医療機関も受付、案内、診療、会計など同じような流れです。この時間をストレスなく過ごせる環境をどう作っていくかも患者様満足度に繋がる重要なポイントです。

先ほどの例、挨拶がない,待つ間、「忘れられてはいないかしら?」とスタッフに視線を向けて「気づいて」と見ているけど無視される。不安になってしまいストレスになりますね。
残念ながらよく体験することです。

サービス改善のため接遇研修だけしておしまい、というところもありますが、それだけでは不十分です。接遇という患者さまと接する場面以外でも、患者さまが滞在している時間に起こるであろう全てのことに意識をむけることが大切です。
それは、ご承知の通り診療以外の時間(待ち時間も含め)も長いからです。
そうすると、待っている時間も快適に過ごしてもらう気遣いが必要ですね。
視線を感じたら、目を向け、「もうしばらくお待ちくださいね」忘れられていないと、安心できますね。

患者様と同じ目線で実際に歩いて自分の施設のことを知りましょう!

このようにひとつひとつ場面を想定し考えていくと、医療機関の敷地、入り口から気配りが必要になってきますね。
自分が患者で来院したと想定して、今一度、玄関から入って、受付、診察室や洗面所、会計、お帰りになるまでを歩いてみてください。

・雑草が生えていないか?
・ごみは落ちていないか?
・案内板は、わかりやすいか?
・床は、トイレは、汚れていないか?
・期限の終わったポスターなどないか?
・スタッフの表情、歩き方は?

何らかの気づきがあるのではないでしょうか。
改善したほうが良いと気づいたところは、すぐに手をつけていきましょう。

患者様の立場を想定することで、満足度アップのためのアクションが起こせます。
この「患者さまの立場に立つ」ということができると、客観的に現状を見ることができ、患者さまがより快適に過ごしてもらう工夫ができます。
患者さま満足度が向上していくチャンスに繋がります。
自分たちの都合で動いていると、患者さまが見えなくなります。常に患者様の立場で物事を見ていくことを習慣にしていきましょう。
ぜひ、お試しくださいね。

次回は具体的なコツとして、「視覚」「聴覚」に的を絞りお伝えさせていただきます。

■ 講師ご紹介 ■
株式会社ウェルビーイング・ジャパン
コンサルタント 十川 美加 (そごう みか)

【専門領域】
CS向上コンサルティング
接客サービス、医療接遇を向上させるために必要な、チーム作りをサポート
上記に応じた接遇研修、クレーム応対研修、ビジネスでの印象力をアップさせるビジュアルマネジメント研修、コミュニケーション研修、会議研修など

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