コスト削減の手助け ~病院や介護施設運営で活用できる助成金・補助金を知ろう!~

「病院・介護事業所の経営を支える!助成金・補助金の基本」のコラムでは、助成金・補助金とは?二つの違いは何なのか?といった基本情報を紹介をしました。経営者にとって、コスト削減は大きなミッションになります。コスト削減のためにも、助成金・補助金を活用し、円滑な資金調達を行いましょう。

そこで今回は、病院・介護施設などの運営において活用できる代表的な助成金・補助金を紹介します。設備投資関係と雇用関係に分けてみていきましょう!

前回の記事はこちら ⇒ 「病院・介護事業所の経営を支える!助成金・補助金の基本」

設備投資に関する助成金・補助金

病院の開業や介護事業の拡大に伴う事業所の開設時には、人件費だけではなく設備投資に多大な費用がかかります。そんな時に欠かせないのがこれらの助成金になります。
新築や増改築を考えている経営者さんも必見です。

病院向け

■ 医療施設等施設整備費補助金

医療提供施設が行う施設整備を新築・増改築する事業主に対して支給される補助金です。(原則、公立の施設を除く)

へき地医療の確保及び臨床研修医の研修環境の充実等を図ることを目的としています。
例:へき地診療所施設整備・有床診療所等スプリンクラー等施設整備、院内感染対策施設整備 等

 

介護施設向け

■ 中小企業労働環境向上助成金

雇用管理制度の導入などを行う健康・環境・ 農林漁業分野等の事業を営む中小企業事業主に対して支給される助成金です。雇用管理改善を推進し、人材の定着・確保を図ることを目的としています。
介護関連事業主の場合、介護福祉機器の導入も助成対象となります。

雇用に関する助成金・補助金

職員の採用、定着に苦労されている方も多いのではないでしょうか?

離職率やメンタルヘルスケアは業界全体でもよく話題になっているかと思います。国の施策としても人材育成を積極的に実施し、個々の従業員の職業能力やモチベーションを高め、生産性を向上させることが重要視されているため、関連する助成制度が多数存在します。

人材採用に関する助成金・補助金

■ トライアル雇用奨励金

職業経験、技能、知識の不足などにより安定的な就職が困難な求職者について、常用雇用へ移行することを目的に、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行的に雇用する事業主に対して支給される助成金です。

求職者の適正や業務遂行の可能性を見極め、求職者および求人者の相互理解を促進すること等を通じて、その早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。

<受給要件>
 ・トライアル雇用対象労働者をハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
 ・ 原則3ヶ月のトライアル雇用をすること
 ・1週間の所定労働時間が原則として30時間を下回らないこと

<支給対象期間>
 ・雇入れの日から1ヶ月単位(最長3ヶ月)

<支給額>
 ・対象者1人あたり、月額最大4万円(最長3ヶ月間)

 

参考:トライアル雇用奨励金(厚生労働省

 

■ 特定就職困難者雇用開発助成金

高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して支給される助成金です。

<支給要件>
 ・ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により雇入れること
 ・雇用保険一般被保険者として雇入れ、継続して雇用することが確実であると認められること

<支給額>
 ・雇入れた場合に支払った賃金の一部(6ヶ月ごと)

<支給期間>
 ・1年~3年

 

※対象労働者によって、支給対象期間・支給額が異なります。また平成28年度より4月1日より、”トライアル雇用奨励金”で雇入れた後の定着について、特定就職困難者雇用開発助成金との併用が可能になりました。詳細は参考リンクをご覧ください。

参考:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)(厚生労働省

 

■ 特定求職者雇用開発助成金(高年齢者雇用開発特別奨励金)

雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、一年以上継続して雇用することが確実な労働者(雇用保険の高年齢被保険者)として雇い入れる事業主に対して支給される助成金です。

<支給要件>
 ・ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により雇入れること
 ・労働者雇用保険の高年齢被保険者として雇入れること1年以上継続して雇用すること  

<支給対象期間>
 ・短時間労働者以外の者:60万~70万
 ・短時間労働者:40万~50万

<支給額>
 ・1年(6ヶ月ごとに支給されます)

 

参考:特定求職者雇用開発助成金(高年齢者雇用開発特別奨励金)(厚生労働省

 

人材育成・制度改善に関する助成金・補助金

■ キャリア形成促進助成金

雇用する労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職務に関連した専門的な知識および技能の普及を行う事業主に対して支給される助成金です。非正規雇用労働者のキャリアアップを支援することを目的としています。

キャリア形成促進助成金には雇用型訓練コース、重点訓練コース、一般型訓練コース、制度導入コースの4つの種類があります。それぞれのコースをみていきましょう。

雇用型訓練コース
雇用型訓練とは、雇用した従業員を対象とした、企業内での実習(OJT)と、教育訓練機関等での座学等(Off-JT)を組み合わせた実践的訓練のこと言い、ここでは特定分野認定実習併用職業訓練、認定実習併用職業訓練、中高年齢者雇用型訓練が対象となります。

重点訓練コース
重点訓練は、若年人材育成訓練、熟練・承継訓練、成長分野等・グローバル人材育成訓練、中長期的キャリア形成訓練、育休中・復職後等人材育成訓練が対象となります。

一般型訓練コース
一般企業型訓練、一般団体型訓練が対象となります。

制度導入コース
事業主が継続して人材育成に取組むために、下記のいずれかの人材育成制度を新たに導入し、その制度を被保険者に適用した場合に助成されます。

 ・教育訓練、職業能力評価制度
 ・セルフ、キャリアドック制度
 ・技能検定合格報奨金制度 
 ・教育訓練休暇等制度
 ・社内検定制度 
 

参考:キャリア形成促進助成金(厚生労働省

 

■ キャリアアップ助成金

有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる”非正規雇用労働者”の企業内でのキャリアアップなどを促進するために、正社員化、人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業主に対して支給される助成金です。労働者の意欲や能力を向上させ、事業の生産性を高めて優秀な人材を確保することを目的としています。

キャリアアップ助成金には、正社員化コース・人材育成コース・処遇改善コースの3種類があります。それぞれのコースをみていきましょう。

正社員化コース
有期契約労働者等を正規雇用労働者・多様な正社員等に転換、または直接雇用させた事業主に対して助成されます。雇用種類などにより支給額が異なります。

<支給額の一例>
 ・有期から正規雇用労働者へ転換した場合:1人あたり60万(※大企業の場合は45万)

人材育成コース
有期契約労働者等に下記の訓練を実施した事業主に対して支給されます。

 ・一般職業訓練(Off-JT) ※育児休業中訓練も含む) 
 ・有期実習型訓練(Off-JT+OJT)※ジョブカードを活用した3~6ヶ月の職業訓練)
 ・中長期的キャリア形成訓練(Off-JT)※厚生労働大臣が専門的・実践的な教育訓練として指定した講座

処遇改善コース
有期契約労働者等に下記のいずれかの処遇改善を実施した事業主に対して支給されます。

 ① すべてまたは一部の有期契約労働者の基本給の賃金規程等を増額改定し、昇給する
 ② 正規雇用労働者との共通の処遇改善(健康診断制度、賃金規程等共通化)を導入、適用する
 ③ 短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用する

 

※各コースの支給額等の詳細は下記をご覧ください。
参考:キャリアップ助成金(厚生労働省)

 

助成金・補助金の活用は労働環境の改善にもつながる

活用できそうな助成金・補助金が見つかりましたか?人材育成・制度導入に関する助成制度を活用することは、職員の労働環境を改善する手助けにもなります。新たな制度の導入・改善によって、職員にとって働きやすい環境を整備しモチベーションの向上にもつながるのではないでしょうか?

今後も医療介護経営オンラインでは助成金・補助金の情報、そして実際に活用する場合の申請方法などを紹介していきます!効率良い経営、職員確保にも役立つ大切な情報を見逃さないよう随時チェックしてくださいね。

※ここに掲載している補助事業の概要は平成28年度以前のもので今後、変更や廃止になる可能性があります。また具体的な条件や資格は各自治体によって異なりますので厚生労働省やハローワークのHPをご確認ください。

プロアスへのお問合せはこちらから

プロアスでは、多数のICTツールや業務効率化システム・サービスなど、病院・クリニック・介護施設の経営のお役に立つラインナップを揃えております。まずは気軽なご相談からご連絡ください。