【ニュース振り返り】遠隔医療・働き方改革がキーワード!2017年9月のニュース5選

2017年9月に起きた医療介護のニュースをプロアスオフィシャルブログ編集部が振り返ります。その中から特に気になったニュース5選をご紹介します。9月度は遠隔医療・働き方改革のニュースが目立ったように感じました。新しい流れが医療介護の業界にも起きていることがわかるニュースを一気に振り返ってみましょう。

情報通信機器(ICT)を用いた死亡診断等の取扱いガイドラインが発表(9/12)

厚生労働省は9月12日付けで、「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン(GL)」を策定し、都道府県知事宛に通知しました。ICTを利用して死亡診断を行うための要件や手順を明確にし、受診後24時間を経過後の死亡であっても、患者・家族の事前の同意があり、遠方の医師がICTを用いて看護師と連携して死亡診断を行った場合は、死亡診断書の交付を認めることとしました。

これまで医師法では、受診後24時間以上経過後に医師の立会いがない状況で死亡した場合は死後診察を行わなければ死亡診断書を交付できず、在宅での看取りが進まない原因とされていました。そこで、GLではICTを利用した死亡診断の要件として、

(a) 医師による直接対面での診療の経過から早晩死亡することが予測されていること

(b) 終末期の際の対応について事前の取決めがあるなど、医師と看護師と十分な連携が取れており、患者や家族の同意があること

(c) 医師間や医療機関・介護施設間の連携に努めたとしても、医師による速やかな対面での死後診察が困難な状況にあること

(d) 法医学等に関する一定の教育を受けた看護師が、死の三兆候の確認を含め医師とあらかじめ決めた事項など、医師の判断に必要な情報を速やかに報告できること

(e) 看護師からの報告を受けた医師が、テレビ電話装置等のICT を活用した通信手段を組み合わせて患者の状況を把握することなどにより、死亡の事実の確認や異状がないと判断できることの5項目を全て満たす必要があります。

具体的な死亡診断の手順は以下です。

  1. 医師は事前にICTを利用した死亡診断について、本人と家族から同意書による同意を取得。
  2. 死亡診断の際には、看護師が遠方にいる医師のリアルタイムの指示の下で遺体の観察や写真撮影を実施。
  3. 「ICTを利用した死亡診断等の記録」の全項目を記載し、電子メール等で医師に報告。
  4. 医師はこれらに基づいて遠隔で死亡診断を実施。
  5. 看護師は医師からの説明を受けて死亡診断書を代筆し、電子メールなどで医師に送付。
  6. その際、死亡診断書の「その他特に付言すべきことがら」の欄に、ICTを利用した死亡診断を行ったことや、代筆した看護師の氏名を記載。
  7. 医師は死亡診断書を確認した上で、テレビ電話などで患者の死亡について遺族に説明。
  8. これを受けて看護師が死亡診断書を遺族に手渡し。

情報通信機器(ICT)を利用した 死亡診断等ガイドライン

 

2019年度の遠隔医療市場規模が約200億円市場に拡大すると矢野経済研究所が予測(9/14)

 

ICTを活用した遠隔医療の市場は、2019年度に約200億円規模まで拡大するという予測を矢野経済研究所が発表しました。

遠隔診療については、18年度の診療報酬改定でプラス改定となった場合、医療機関での専用アプリケーションなどの遠隔診療ツールのさらなる導入が期待できるとし、「市場の拡大は急速に進む」とされています。

矢野経済研究所プレスリリースより

資料名:「2017年版 遠隔医療市場の将来展望

 

女性勤務医25%が「過労死ライン」超。残業月100時間以上が13%も(9/20)

全国の病院勤務する女性医師の4人に1人が「過労死ライン」に当たる月80時間以上の残業をしていることが20日、日本医師会の調査で分かりました。月100時間以上の残業をしている女性医師も13%に登りました。

調査は今年2~3月、全国の病院に勤務する女性医師を対象に郵送で行われ、25%に当たる1万373人が回答。このうち月の残業時間が80~100時間は12%、100時間以上は13%でした。特に救急外来や脳神経外科、外科などで長時間労働が目立つ結果となりました。

回答者の62%が既婚者で、小学生までの子供がいる女性医師は38%(3896人)に上りました。しかし、普段子供をみているのは「本人のみ」「本人と保育所など」が多く、子育ての負荷が女性に偏っている傾向がみられました。

働き方改革が叫ばれる中、人の命を預かる医師自身が万全のコンディションで働くことができる環境づくりが急がれます。

女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書(日本医師会)

 

医療的ケア児支援・報酬加算の方針が決定(9/22)

厚生労働省は、障害児向けデイサービスなどの事業所が、たんの吸引といった医療的なケアを必要とする子ども(医療的ケア児)を受け入れた場合、来年4月から看護師の配置などに応じて報酬を加算する方針を固めました。

現状では看護師の配置を評価する仕組みになっておらず、医療的ケア児が通える事業所は少ないのが現状です。受け皿を拡大し、保護者の負担軽減にもつなげることが今回の報酬加算の目的です。

医療的ケア児は、胃に穴を開けてチューブで栄養を摂取する「胃ろう」やたんの吸引、人工呼吸器の装着などが必要な子どものことを指します。医療技術の進歩で新生児が救命される確率が高まったことで増加の傾向にあり、全国に19歳以下で約1万7000人いると推計されています。

厚労省は酸素吸入や気管挿管など、ケアの内容ごとに点数化した上で、利用する子どもの人数や看護師の配置状況を踏まえて具体的な報酬額を決める方針です。

厚労省の調査では、障害児の通所事業所のうち、医療的ケアを提供しているのは1~2割程度にとどまっている現状から、報酬加算をきっかけに、提供事業所が増加することが望まれます。

医療的ケア日常的に必要な子ども支援で報酬加算へ(9月22日 NHK NEWS)

(参考)医療的ケアが必要な障害児の支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

 

デイサービスの事業所数が初の減少に!前回改定のインパクトが小規模型を直撃(9/5)

デイサービスの事業所数が昨年度に初めて前年度を下回ったことが、厚生労働省の「介護給付費等実態調査」の結果でわかりました。

2016 年度3月時点では4万3440ヵ所あった通所介護の事業者数が2017年3月時点で4万3399ヵ所に減少しました。41ヵ所少なくなっている計算です。小規模な事業所が初めて減少に転じ、その減り幅が大きかったことが影響しています。

小規模な事業所は今年度に入っても減少を続けており、月報では4月が2万63ヵ所、直近の5月が2万28ヵ所。デイ全体では4月が4万3328ヵ所、5月はやや増えて4万3340ヵ所となっています。

2000年度に介護保険制度がスタートして以来、デイサービスの事業所数は右肩上がりが続いてきました。近年では特に小規模な事業所が著しく増加し、全体の費用額は2014年度の時点で1.6兆円を上回っていましが、2015年度の改革で小規模な事業所を中心に基本報酬を大幅にカットというマイナス改定を実施し大ナタを振るったことで状況は大きく変化。

さらに要支援1、2を段階的に総合事業へ移していくことも決め、現在も給付費をさらに適正化する方策が検討されているため、来年度の介護報酬改定でも厳しい内容になると予想されています。

厚生労働省 介護給付費等実態調査

 

 

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