2016年の介護業界5大ニュース!

年の瀬が近づいてきました。2016年は介護業界にとってどんな1年だったのでしょうか?
医療介護経営オンライン編集部が注目した5大ニュースを紹介します。

高齢化社会の動向 ~介護利用、初の600万人超え~

介護利用、初の600万人超え 15年度厚労省調査

8月31日に厚労省が発表した介護給付費実態調査によると、2015年度に介護や介護予防の公的サービスを利用した人は過去最多の605万人となりました。初めて600万人を超える結果となり、高齢化社会の進行に伴い介護サービスを利用する人が増え続けていることが明らかとなりました。

◆ 介護サービスの内訳
・在宅で受けるサービスの利用者:約371万人(前年比約11万人増)
訪問介護:143万人
通所介護(デイサービス):約192万人
・施設サービスの利用者:123万人(前年比約約2万人増)
特別養護老人ホームの利用者:64万人
・介護予防の利用者:156万人(前年比約約5万人増えて)

出典:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF31H0K_R30C16A8PP8000/

 

労働環境は悪化?!~介護職うつ5年で倍増&98%が利用者からの暴力を経験~

介護サービスの利用者から暴力を受けた経験者は98%

「介護職が受ける暴言・暴力」に関する実態調査が行われ、利用者による暴力被害、そして社内での対応の現状が明らかになりました。
(※調査は介護職の人材紹介サービスを展開するウェルクスが、同研究所の読者、介護系のSNSの読者を対象に実施)

調査結果は下記になります。

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98%もの人が暴言・暴力の被害を受けたという衝撃の結果となりました。
被害を受けたあと、どのように対応したのでしょうか?

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相談をしても実質的には解決できなかった人が8割以上を占めました。
しかし解決できなかった人の気持ちの変化ですが、50%の人が相談したことによって気持ちが楽になれたと答えました。

出典:livedoor NEWS
http://news.livedoor.com/article/detail/11887024/

これらの暴力被害等は職員とってストレスの要因の一つになっていると考えられます。

介護職うつ 5年で倍 労災申請、人手不足背景に

2009年から2014年における5年間で、うつ病などの精神疾患発症の労災を申請した介護職員が倍以上に増加したことが明らかになりました。仕事上のストレスが原因に挙げられます。
また、精神疾患を発症したと認定された数は3倍に増え、業種別に見てもトップに位置している厳しい結果となりました。

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労災認定の理由としては、長時間の残業や不規則な勤務体制(交代制等)が挙げられます。この結果により慢性的な人手不足が続く介護業界の職場環境の悪化が浮き彫りになりました。

出典:東京新聞(TOKYO Web)

制度改正に向けて ~介護職に外国人材拡大 2017年4月から可能に?~

厚生労働省が2016年度に日本で実習をしながら介護技術を覚えてもらい、自国に役立ててもらおうという「外国人技能実習制度」の対象業種に介護職を追加することを検討しています。
メリット、デメリットの両方が多く挙げられていますが、介護業界の人材不足解消の効果が大いに期待されています。

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注目!介護業界の外国人労働者受け入れは人材不足対策の切り札になるか?

今年は「外国人技能実習制度」の実現に向けて前進が見られました。2017年4月から可能になるという話しも出ていますので、今後も最新情報により注目していきます。

介護職に外国人材拡大 関連2法案が衆院通過

10月に行われた衆院本会議で、外国人材の受け入れを増やす出入国管理・難民認定法改正案が、技能実習の期間を最長3年から5年に延長する外国人技能実習適正実施法案と併せて自民、公明、民進など各党の賛成多数で可決されました。両法案とも成立後1年以内に施行するとされています。

<可決内容> ※参院での審議を経て今国会で成立する見通し

・日本の介護福祉士の国家資格を持つ外国人を対象に介護職の在留資格を新設する
・働きながら技術を学ぶ技能実習制度の対象職種に介護を新たに加える
・実習先の団体や企業を監督する組織の新設

 

現在、看護・介護の分野で外国人の受け入れが認められるのはインドネシア等の3カ国と結ぶ経済連携協定(EPA)の枠組みのみだが、法整備後はEPA締結国以外からも留学生として入国し、介護福祉士の資格取得後に就労ビザに切り替えて正式に働くことが可能になります。
技能実習生には日本の介護サービスを学びながら就労に従事してもらうが、介護現場で日本語が未熟な外国人が増えるとサービスの低下につながりかねないという声もあり、日本語教育の充実などの対策が必要とされるでしょう。

出典:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS24H5F_V21C16A0MM0000/

介護業界の今後 ~倒産件数が過去最多ペース 新規参入に二の足~

介護事業所の倒産件数が過去最多ペース 62件倒産

2015年1月から8月までに倒産した介護事業者は、過去最多の62件という結果でした。前年同時期と比べると、2014年は55件で、12.7%増えました。
倒産した事業者のうち、3分の2にあたる42件は従業員数5人未満、半数近くの29件が設立から5年以内の事業者でした。また業態で最も多かったのは「通所・短期入所介護事業」の28件。続いて「訪問介護事業」の25件という内訳でした。

2015年度の介護報酬改定によって認知症や要介護度の重い利用者を多く受け入れる事業者などへは加算が手厚くなる一方で、事業者の基本サービスに支払われる報酬が引き下げられました。事業者への基本報酬が大幅減額となるなか、主に小規模の事業者が対応しきれなかったことが要因であると考えられています。

出典:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASJ9841V3J98UBQU014.html

介護事業の新設法人、前年比で14%減少 「有望市場から一転、新規参入に二の足」

10月28日、東京商工リサーチが公表したレポートによると、2015年に新設された介護サービス事業者の法人は3,116社で、2014年(3,627社)から14.0%減少したことが明らかになりました。2015年における他業種を含む全体の新設法人は、12万4,996社で前年に比べ4.5%の増加しています。介護業界の結果とは大きな違いがあることが分かりました。
その要因として、「要介護者を抱える家族の生活費への圧迫や、人手不足と人件費の高騰、施設への投資負担、過当競争や介護報酬改定など、内憂外患の厳しい環境がある」と分析され、倒産が増えている現状に対しても「円滑な事業運営や新規参入を促す細やかな政策支援が今こそ求められている」と指摘されています。

◆ 調査結果のポイント
昨年の新設介護事業者の資本金は約90%が 1千万円未満です。

 <内訳>
   500万円以上1000万円未満:10.9%
   100万円以上500万円未満 :56.3%
   100万円未満:22.5%
    ⇒小額の資本金で開業する事業者が多いことがわかります。

 <サービス別>
   訪問介護:82.5%
   通所・短期入所介護:10.1%
   有料老人ホーム:3.4%

出典:介護のニュースサイトJOINT
http://www.joint-kaigo.com/article-2/pg67.html

世間に衝撃を与えた事件 ~相模原市障害者施設襲撃 19人が犠牲に~

近年、職員が利用者のカードを悪用したり、財布を盗んでしまったというようなニュースが増えています。人員不足が嘆かれていますが、利用者と密に関わり、ご家族等との信頼関係がサービスの質、そして会社の評判にも影響があるため職員の管理や育成が大きな問題になってきています。

そして2016年には、介護業界だけでなく日本中に大きな衝撃を与える痛ましい事件が起こりました。

【相模原市障害者施設襲撃】刃物で刺され19人が死亡 26歳元職員を逮捕

7月26日午前2時45分頃、神奈川県相模原市緑区にある知的障害者らが入る障害者施設「津久井やまゆり園」の職員より「ナイフを持った男が施設に来て暴れている」と110番通報がありました。男は刃物で入所者を次々と刺すなどし、19~70歳の男女19人が死亡、23人が重傷を負ったほか3人が軽傷を負い、多くの方が犠牲になりました。
午前3時すぎ、津久井署に施設の元職員を名乗る男が「私がやった」と出頭し、自称無職で元職員の植松聖(さとし)容疑者(26)が殺人未遂と建造物侵入の疑いで逮捕されました。
植松容疑者は「ナイフで刺したことは間違いない」など容疑を認め、「障害者がいなくなればいいと思った」という趣旨の供述をしました。また負傷者は首に集中的に切り傷があったとのことです。


いかがでしたか?悲しい事件が起こってしまった今年ですが、利用者へのサービスだけではなく職員へのケアの必要性も考える大きな機会となりました。
2017年は人員不足や利用者の負担に関するものなど、さまざまな制度が施行されるかと思います。2025年問題に向けてより良い方向に改善されていくのではないでしょうか。

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