「全国がん登録」義務化で医療機関の対応が急務

今年(2016年1月)から施行された「全国がん登録」の義務化では、日本で「がん」と診断されたすべての患者データを、国(国立がん研究センター)で取り纏め・集計・分析・管理をする制度が始まりました。

今回は、この「全国がん登録」について、
がん登録システムを開発するスキルインフォメーションズ株式会社(大阪市東淀川区、代表取締役:杉本浩)の営業担当の方に、がん登録の目的やそこからわかるデータについてご説明いただきます。

スキルインフォメーションズ株式会社は臓器癌登録を30年近く携わってきたスペシャリスト集団です。
「院内がん登録システム」を、国の指定がん診療連携拠点病院などに導入しています。

(参考)「全国がん登録」制度についての詳細(国立がん研究センターHPより)
http://ganjoho.jp/reg_stat/can_reg/national/about.html

「全国がん登録」とは

今までは、国が指定する「がん診療連携拠点病院」施設基準が定められている医療機関だけが、おこなっていた「院内がん登録」を今年からは、全ての医療機関において、がん患者の登録・報告が義務化となりました。

がん登録の目的は「がん対策の立案と評価」

「がん登録」で集められたデータは、がん対策の立案や評価に活用されます。

がん対策の目的は、がんになる人を減らすこと、がんから治る人を増やすこと、そして患者さんが元気に過ごせる期間を延ばし、苦痛を軽減することです。
がん対策の取り組みの成果は、最終的には、がん死亡率の減少として示されます。
がんの死亡率と罹患率とを比べることにより、がん予防の効果とがん医療の効果のそれぞれの寄与の度合いを知ることができます。

(1)がんになる人を減らす(一次予防)
(2)がんから治る人を増やす(二次予防)
(3)元気に過ごせる期間を延ばし苦痛を軽減する(三次予防)

適切ながん対策を計画し、(1)~(3)の成果を評価するためには、がんの死亡率、罹患率、生存率を継続して計算する「がん登録」の仕組みが必要です。

がんの死亡率、罹患率の定義

がんの死亡率とは、一定の対象者の中から(例えば、日本において)、一定期間内に(2010年の1年間に)、「がん」が原因で死亡した数を、対象者数(日本の人口)で割り、10万を乗じたもの(人口10万人あたり)と定義されます。

日本全体から一定期間内に生じた「がん」によるすべての死亡数から、死亡率を計算することができます。
「がんが原因で死亡した数」は、日本においては、厚生労働省が管理する人口動態統計という仕組みにより整備されているので、正確な数を知ることができます。

がんの罹患率は、死亡率における「がんが原因で死亡した数」を「新たにがんと診断された数」に置き換えることによって計算することができます。
「新たにがんと診断された数」を正確に知るには、日本全体から一定期間に生じた新たながんを1件1件積み上げる「がん登録」仕組みが必要です。

がんの罹患率の実態から国の対策方針が決まる

例えば、日本の胃がん死亡率は継続して低下していますが、これには胃がんの罹患率の減少が大きく寄与しています。
また、肺がんの死亡率と罹患率とを比べると、肺がんの早期診断と医療の効果はほかの部位に比べて限界があり、肺がんにならないための予防が何より効果的であることがわかります。
実際、がん予防として喫煙対策の進んだ欧米では、肺がん罹患率が減少し、これに続いて死亡率も減少に転じています。

しかし、日本では、死亡数の場合と異なり、がんの罹患率計算に必要な、国全体の「新たにがんと診断された数(=罹患数)」を数える仕組みは存在しません。
現在は「地域がん登録」がその役割を担っていますが、2016年1月から「全国がん登録」が導入され、国で情報を一元化できるようになります。

がん患者の生存率の定義

がん患者の生存率は、がん医療の効果を評価する指標となります。
例えば5年生存率は、全罹患者について、診断から5年後に生存が確認できた割合を意味します。
つまり、生存率を計算することで、がんから治る人を増やす取り組み(早期発見、効果的な治療方法の開発と普及)の総合的効果を知ることができます。

生存率を計算するためには、「罹患の把握」の上に、さらに「がん患者の生死の把握」が必要です。
これを行っているのも現在は「地域がん登録」ですが、「全国がん登録」が始まると、国全体におけるがん患者の情報の把握ができるようになります。

全国がん登録で注意するポイント:入力の手間とセキュリティ

個人の診療所・クリニックレベルでは、人材確保も厳しく登録患者数も1名の人材を入れる程ではないとしても、報告のタイミングなどでは増員が必要になるほどの手間も時間もかかってしまいます。

「全国がん登録」での登録項目は、26項目が必要になりますが、その中には個人を特定できる内容が含まれており、患者データの取扱いには診療情報データとしての同一レベルでのセキュリティ対策を講じる必要があります。
また、主体となる登録者は医事課部門様になりますが、ドクターの情報記載も必須となってきます。

登録に必要な、項目は以下の表になります。

この登録項目を、医事課等に設置の電子カルテや医療情報のシステムから必要情報を抽出し又はプリント出力をし、診療情報室などで診療情報管理担当が、必要項目(1~26)の全ての項目を一から登録をする必要があります。

その際には、個人情報を出力することになり、個人情報の漏洩の恐れなど細心の注意のもとでの登録が必要になります。
このようなデータの管理など、登録に向けての安全対策フローを作成した上で登録していかなければいけませんが、まずはそのデータ取扱いついてフロー化し、流れに沿った登録を取り決め、情報漏洩を防ぐことが必要不可欠になります。

スキルインフォメーションズ株式会社の紹介

がん登録システムを開発するスキルインフォメーションズ株式会社は、
今年(2016年1月)から施行された「全国がん登録」の義務化を受けて中小規模の医療機関のご負担を軽減させる業務簡易化支援システムを提供しています。。
株式会社ベクセルからがん登録の技術を譲受した、スキルインフォメーションズ株式会社は「全国がん登録」開始で医療機関の作業となる登録による手間と情報漏洩対策考慮したがん登録システムを提供しています。

[登録患者の抽出対応]

データ連携を可能にすることで、無駄な紙の出力量を減らすことで個人情報の紛失の可能性が減少します。
また、登録項目が、設定されていることで、プルダウンし、ワンクリック選択をする必要もなく、登録は、診断根拠・発見経緯の文章以外は、入力も限られてきます。

[登録入力対応]

「全国がん登録」で必須とされる入力項目26項目を、医事情報システムとデータ連携することにより患者情報を紙媒体への出力を極力減らし、手入力する内容も最小限にすることが可能となり、実質の登録項目は病理診断・進展度等必須入力項目が8項目(初期設定の対応や連携)程度まで減少します。
義務化により登録を始める医療機関様でも手軽にご利用いただけるシステム提供を致します。

[登録業務対応]

登録患者抽出から入力業務、ハードウェアを含めた、データの管理など、登録に向けての安全対策フローを作成し、流れに沿った登録の取り決めをサポートし、情報漏洩対策のお手伝いも致します。

スキルインフォメーションズ株式会社は、「全国がん登録」の医療情報データと連携させたシステムの提供を2016年7月よりさせていただきます。

日本全国医療機関(2014年調査資料参考医療機関数 95,762機関<歯科・眼科含む>)

[関連システム情報]

当社は臓器癌登録を30年近く携わってきたスペシャル集大成の「院内がん登録システム(Prometheus)pro」を、国の指定「がん診療連携拠点病院」様などにご利用頂いているシステムを開発しており、今年施行の「全国がん登録」対応の多彩な機能を有したシステムの提供もおこなっています。

[病院活用データの登録]

全国がん登録の26項目のみでは、医療機関でのがん患者情報分析に必要な情報が不足するため、学会などでの発表も検討される医療機関様へは、+αの登録により、病院実績などの集計が可能になります。

■機能等詳細■

・国指定のファイル提出が可能なため簡易操作を実現します。
・連携機能による医事情報患者基本データ活用
・ケースファインディング(患者洗い出し)
※・病歴情報・医事病名情報 //(オプション情報)病理情報・化療情報・放射線治療情報・手術情報
・分析機能から、CSV出力した多様なデータ活用

 

「全国がん登録」システムにご興味があれば是非お問い合わせを!

今回ご紹介したスキルインフォメーションズ株式会社の「全国がん登録」システムにご興味をお持ちいただいた方は、下記お問合せまでご連絡ください。
データ入力作業だけでなく、登録データの探し出し、集計作業とかなりの短縮が図れるシステムとなっています。

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プロアスでは、多数のICTツールや業務効率化システム・サービスなど、病院・クリニック・介護施設の経営のお役に立つラインナップを揃えております。まずは気軽なご相談からご連絡ください。