【病院のデジタルサイネージ活用実態調査】医療機関の施設内で求められる情報提供とは

インターネットが普及し、患者様が病院を選ぶ決め手は、口コミなどの評判やホームページの情報が大きな割合を占めています。
しかし、インターネットからだけでは情報が少なく、患者様はより多くの情報を求めており、自分がかかっている病院のことをもっと知りたがっています。

今回編集部では、受付まわりの情報の見せ方や、患者様の待ち時間の軽減対策について以前実施した独自調査の結果(※)をもとにご紹介させていただきます。


(1)対象:兵庫県下 275 件の医療機関
(2)時期:平成 27 年夏
(3)調査方法:まず電話によるアンケートの依頼後、活動にご理解を頂いた事務長様、また御担当者の方に御面談または FAX 返信によるアンケート回答にご協力いただきました。

病院の情報提供の実情は?

最近では、掲示板に紙で表示するだけでなく、ディスプレイを使用した案内が増えています。そこで、ディスプレイの導入率を調べるため、掲示媒体の種類を伺いました。

 

掲示物(紙)のみと回答された医療機関が約 4 割、掲示物とディスプレイを使用されている医療機関が全体の 6 割を占めました。病院でもディスプレイは確実に浸透している事がわかりました。
では、病床規模別で見ると、どうでしょうか。その比率は変わってきます。

 

100 床未満の医療機関では 4 割という結果に。まだまだパブリックディスプレイの設置が少ないようです。100 床以上の医療機関では 6~8 割がパブリックディスプレイと掲示物(紙)を併用されており、パブリックディスプレイの普及率が高い事がわかります。
しかしながら、実際には現在導入を検討中の病院も多く、今後この割合はパブリックディスプレイ併用型へと傾いていくことは必至のようです。

病院が院内で行う情報提供のコンテンツ 

厚生労働省が実施したアンケートで上位に挙げられていたものを中心に項目として取り上げました。複数回答可でチェックを付けていただき、掲示物とパブリックディスプレイの表示内容に違いがあるのか比較しました。

 

ここで気になるのは、どういった情報をパブリックディスプレイに表示しているか。ではないでしょうか?
「病気・健康情報」「院内イベント告知」少数ですが「常勤医師の氏名」「常勤医師の専門分野」が挙げられています。医師の氏名や専門分野等は、ドクター紹介の映像を放映しておられるようです。
パブリックディスプレイのコンテンツ表示のメリットとしては、紙掲示では表現しきれない動画などの【情報の質】が際立っており、紙の情報を患者に【見てもらう】から【見せる】へ変わってきています。またリアルタイム性と言う意味からもパブリックディスプレイ表示化する傾向にあるようです。

患者が求める情報を把握する方法

病院にとって、患者様からの意見・感想・評判は気になるもののひとつではないでしょうか?
その生の声を集めるために、どんな手段を用いておられるのか伺いました。

 

意見箱の設置をされている医療機関が 9 割以上と、大変大きな数字が出ました。これは最も手軽にはじめられる手法なのかもしれません。
また、全体の約 5 割の医療機関がいずれか 2 種、約 4 割の医療機関が上記全て実施している。との回答が得られました。
この結果からも、患者の声を集めようという意識が高い事がわかりました。

意見箱は主にロビーに設置されており、回収した内容を各担当部門で対策案を検討し、1 カ月毎に掲示板への貼り出し、ホームページでの告示やパブリックディスプレイでの配信などで情報提供を実施している病院が多い事がわかりました。

最近では、ホームページの作成に力を入れておられる病院も増えてきています。これは、病院を決めるきっかけが、口コミサイトの評判やインターネットで検索するケースが圧倒的に増えていることからも伺えます。今後、ホームページからの意見募集が増えてくるのかもしれません。

効果のあった病院独自の取組み紹介

次に、病院独自の取組みから収益向上や患者満足度向上につながった成功事例をご紹介させていただきます。

急性期・小規模
インフルエンザの予防接種の案内をポスターで告知していたが、インフルエンザの予防、対策の動画コンテンツを作成して待合ロビーのテレビで放映したところ、予防接種の数が前年より大きく上回った。
急性期・中規模
意見箱の回答用紙を無機質な白ではなく、ピンクの用紙に変更したら立ち止まって見てくれる人が増えた。
急性期・小規模
掲示物の期間管理と、重要度付けを行い、新しく重要な物を患者様の目につきやすい所に配置するようにしたら患者様から、貼り紙変わりましたね。見やすくなりました。と良い評価を頂いた。
亜急性・小規模
配布冊子を、ただ置くだけではなく、今月の新刊!という区分けを作成したら、定期的に来院される患者様が手にとってくれるようになった。
急性期・中規模
外来の診療待ち状態を少しでも軽減したいと思い、ホームページに診察混雑状況をお天気マークで表示したら、混雑状況が集中から分散へ変化してきた。
慢性期、小規模
掲示板の数を増やすことにより、掲示物を見てくれる人が多くなり、更新が遅れると、今月のはまだですか?と催促されるようになった。

 

既に取り組んでいる病院の4つのキーワード!

◆病院情報の発信◆
⇒当院の事を正しく知ってもらう。
患者様は、病院の事を知っているようで知らないことが多くあります。
病院の特徴、設備、先生、どんな検査が受けられるか、この病院の得意な治療は何が専門なのかなど知りたがっています。

◆患者目線の院内掲示◆
⇒貼り紙などの掲示物を整理する(ITの仕組みとの併用)。
院内掲示物が、患者様に読みづらかったり、気がつかれなかったりするとせっかくの情報が伝えられていない可能性があります。

◆健康情報の発信◆
⇒患者自身の健康に関する収集の場とする。
患者様は、診察や治療を目的として来院されますが、病院側の顧客満足の推進となる部分では、医療基本知識の提供や健診・検査の告知、栄養指導など、専門医からアドバイスを貰うことにより病院に来てよかったなと思える場の提供が重要となります。

◆患者待ち時間軽減◆
⇒待ち時間を軽減する。
患者様は、混雑時には何時間も待たされるケースもあり、ある市民病院様では、市民から苦情として議会に上がり対策命令が出たほどです。いつまで待たされるのかという目安がわかるだけでもイライラが解消される事がわかってきました。

IT化で課題を解決!

患者様から寄せられたお声の中に、このようなものがありました。

●掲示される印刷物を、特に重要と思われる物も、そうでない物も、「十把一絡げ」にして掲示するのではなく、重要で徹底すべき事項の掲示は、文字を拡大する等して、高齢者でも読みやすく、理解できるように工夫をして掲示して欲しい。

●掲示板が小さくて見えない。

●ひとつひとつの情報が,すっと自然に目に入るように掲示場所全体をもう少しすっきりしてほしい。

 

これらのお声を解決するためには、複数の情報を大型ディスプレイで効果的に表示させることがポイントとなってきます。
次回は、システム化で達成できる患者満足度向上の観点から、「デジタルサイネージシステム」導入におけるメリットとその効果をご紹介させていただきます。

 

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