プロアスでは、昨年より遠隔診療ソリューション「CLINICS」(クリニクス)の取扱をスタートしています。今回は、遠隔診療サービスとはどんなものか?について、改めて、遠隔診療の歴史を振り返りながら、世の中の代表的なサービスをみてみましょう。
まずは遠隔診療の歴史をおさらい(2015年8月、遠隔診療解禁)
遠隔診療が初めて登場したのは、1997年の遠隔診療通知(平成9年12月24日付政発第1075号厚生省健康政策局長通知)。この通知では、遠隔診療によって対面診療に代替し得る程度の情報が得られる場合は、医師法第20条に直ちに抵触するものではない、との見解が示されました。
つまり、遠隔診療は「診察」になり得ることが明らかになったわけです。しかし、留意事項として地理的条件や疾病に関する制限が設けられ、あくまで対面診療が原則との方針が明確となったため、当時遠隔診療はあまり普及しませんでした。
その後、2015年8月に発出された事務連絡(平成27年8月10日付厚生労働省医政局長事務連絡)で、状況が変化します。平成9年遠隔診療通知の留意事項はあくまで例示であり、患者側の要望に基づき適切に対面診療と組み合わせることで遠隔診療を行うことは差し支えない、との見解が示されたのです。
初診は対面診療が必須であるなどの条件はありますが、この通知によって遠隔診療が事実上解禁され、遠隔診療を導入する医療機関や、遠隔診療サービスに参入する企業が現れました。
平成9年12月24日付政発第1075号厚生省健康政策局長通知
【診察の流れをご紹介】「遠隔診療サービス」でどんなことができる?
このような経緯で、2015年8月の通知発出以降普及しはじめた「遠隔診療サービス」。具体的にどのようなことができるのでしょうか。遠隔診療サービスを利用した場合の、一般的な診察の流れをご紹介します。
診察の流れ
- 診察予約
患者は、スマートフォン・タブレットなどのアプリやパソコンから、受信したい医療機関、時間などを選択し、診察の予約をします。必要な場合は問診票を入力します。
- 診察
予約した日時になったら、ビデオ通話などを利用し診察します。医師は、スマートフォンなどのカメラを利用し、患者の顔色や患部の状態を確認します。
- 支払い
診察にかかった費用を、患者のクレジットカードなどで決済します。
- 薬、処方箋を配送
処方があった場合は、薬や処方箋を患者に配送します。
一般的な診察の流れは、以上の通りです。現在、大まかな流れは各社ほぼ共通のようです。
では、遠隔診療サービスを4社ピックアップして、それぞれの特徴を見てみましょう。
【遠隔診療サービス1】ヘルスケア機器と連携「ポケットドクター」
「ポケットドクター」は、2016年4月にMRT株式会社が提供を開始したサービスです。2017年4月に機能が刷新され、診療予約やオンライン決済の機能を新たに搭載した「遠隔診療ポケットドクター」としてリリースされました。
「ポケットドクター」の特徴は、ヘルスケア機器と連携できること。血圧計や体組成計、体温計などのヘルスケア機器をスマートフォンと連携させることで、診察時に患者のバイタルデータを医師や医療機関に共有することができます。
顔色など映像からの情報に加え、血圧・血糖値などのデータを医師が得ることができるため、患者の健康状態をより正確に把握することができます。
【遠隔診療サービス2】AIを活用した「curon(クロン)」
「curon(クロン)」は、2016年4月に株式会社情報医療が提供を開始した遠隔診療サービス。人工知能(AI)の技術が活用されているのが特徴です。AIのディープラーニング技術を利用して、アプリから患者の服薬状況についてデータを集積し、性格や好み、中断する傾向が見られないか、など患者の状況に応じた服薬継続サポートを行います。
そのほかの特徴として、導入にかかる初期費用、月額最低利用料がかからないため、医療機関での導入がしやすい点が挙げられます。
【遠隔診療サービス3】業界最多、500以上の医療機関で導入「CLINICS(クリニクス)」
「CLINICS(クリニクス)」は、株式会社メドレーが2016年2月に提供を始めたサービスです。2017年9月時点で500以上の医療機関で導入されており、導入数は業界最多となります(株式会社シードプランニング 「2016年版遠隔診療サービスの現状と将来展望」より)。スタッフの教育や、患者へご案内するパンフレット作成、他院の導入事例紹介など、導入後もシステムを有効活用してもらうための、サポート体制が手厚いことも特徴です。
また、福島県南相馬市が、在宅医療を必要とする患者向けに、市立小高医院で「CLINICS(クリニクス)」を導入しました。この取り組みから、地域でオンライン診療を活用するモデルケースとしても注目が集まっています。
【遠隔診療サービス4】2018年1月9日発売の新サービス「YaDoc(ヤードック)」
最後にご紹介するのは、株式会社インテグリティ・ヘルスケアが提供する「YaDoc(ヤードック)」。福岡市の「ICT を活用した『かかりつけ医』機能強化事業」のひとつとして、2017年4月から市内の医療機関で実証実験が行われた後、2018年1月9日から全国で提供が開始されました。
ビデオチャットによる「オンライン診療」のほか、スマートフォンから患者のバイタルサイン、生活情報、運動量などを確認できる「モニタリング」、スコアで回答する定型の問診表を、診察前に患者に記入してもらうことで主訴をもれなく把握できる「オンライン問診」の機能を備えており、通常の診療では得られにくい情報でも医師が集積できる点が特徴です。
遠隔診療サービス、これからもっと注目です!
平成27年8月10日付事務連絡が発出されて以降、普及が進む遠隔診療。遠隔診療サービスがどのようなものか、筆者の独断で選んだ「ポケットドクター」、「curon(クロン)」、「CLINICS(クリニクス)」、「YaDoc(ヤードック)」の4サービスの特徴と共にご紹介しました。今回はご紹介しきれませんでしたが、これら以外にも独自性のあるサービスがたくさん提供されています。
2018年度診療報酬改定で点数が見直されることとなり、今後大きな変化が起きると予想される遠隔診療。どんどん開発が進む、遠隔診療サービスがどのように進化するのか!?これからも目が離せません。
遠隔診療にご興味をお持ちであれば、プロアスまで
プロアスでは2017年9月20日にオンライン診療アプリ「CLINICS」(クリニクス)を企画・開発する株式会社メドレー(※)と販売取次店契約を締結いたしました。
オンライン診療アプリ「CLINICS」(クリニクス)や、そもそも遠隔診療にご興味をお持ちの医療機関の方はお気軽にプロアスまでお問い合わせください!