【遠隔診療の法的規制】遠隔診療の歴史と法律の整備を振り返ります!

プロアスでは、遠隔診療ソリューション「CLINICS」(クリニクス)の取扱をスタートいたしました。これまで過去3回に渡り、遠隔診療について解説してきましたが、今回のテーマは「法的解釈」。法律上ではどこまで遠隔診療が認められているのか、過去の経緯と共に振り返りましょう。

話題の”遠隔診療”の言葉の定義と注目される理由を解説します【プレスリリース解説】

2017年10月17日

遠隔診療と相性の良い疾患とは? 遠隔診療を導入する医療機関のメリット【プレスリリース解説】

2017年11月14日

遠隔診療の気になる診療報酬・診療点数について解説します【プレスリリース解説】

2017年11月28日

遠隔診療は「診察」なのか?(平成9年12月24日付政発第1075号厚生省健康政策局長通知より)

遠隔診療が初めて登場したのは、1997年の遠隔診療通知(平成9年12月24日付政発第1075号厚生省健康政策局長通知)。この通知では、医師が診察を行うことを定めた、医師法第20条との関係性について解釈が行われています。

はたして、医師法上の「診察」に遠隔診療が該当するのか。基本的な考え方としては、「診療は、医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本で、対面診療を補完するものとして行うべきもの」と示されましたが、「医師法第20条等における「診察」とは、問診、視診、触診、聴診その他手段の如何を問わないが、現代医学からみて、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のもの」とし、対面診療に代替し得る程度の情報が得られる場合は、遠隔診療が医師法第20条に直ちに抵触するものではない、との解釈が示されました。つまり、遠隔診療は「診察」になり得る、ということになります。

しかし、留意事項として、(1)初診、急性期の疾患に関しては対面診療でなければいけない、(2)慢性期疾患の患者など、病状が安定している場合のみ行うことができる、(3)離島、へき地など、直接の対面診療を行うことが困難である場合にのみ行われるべき、との考えが示され、あくまで対面診療が原則である方針が明確になりました。

このように、本通知で遠隔診療が「診察」となり得ることが認められましたが、条件の厳しさから、この時点では遠隔診療が広く普及することはありませんでした。

平成9年12月24日付政発第1075号厚生省健康政策局長通知

遠隔診療、ついに解禁!(平成27年8月10日付厚生労働省医政局長事務連絡より)

遠隔診療が診療として認められ得るという見解が明らかになったのちも、限られた条件下でのみしか遠隔診療を行うことができない、という状況が長く続きました。しかし、2015年8月に発出された事務連絡(平成27年8月10日付厚生労働省医政局長事務連絡)によって、状況が大きく変化します。

この通知では、平成9年遠隔診療通知の留意事項として挙げられている、地理的条件(離島、へき地など患者直接の対面診療を行うことが困難である場合)、疾病についてはあくまで例示であり、患者側の要望に基づき適切に対面診療と組み合わせることで、遠隔診療を行うことは差し支えない、との見解が示されました。つまり、本通知によって、遠隔診療が事実上“解禁”されたのです。

長年、厳しい制限の下での運用が求められていた遠隔診療ですが、この通知によって、状況が大きく変化し、遠隔診療を導入する医療機関や、遠隔診療サービスに参入する企業が現れました。

原則「直接の対面と適切に組み合わせて行われる」という方針は現在も変わりませんが、遠隔診療を利用する医療機関数は増えており、様々な疾病の治療で用いられるようになりました。特に精神科領域については、遠隔診療との相性の良さが注目されており、今後の活用が期待される分野になっています。

また、企業においても、株式会社メドレーをはじめとした様々な企業が遠隔診療サービスに参入しています。

平成27年8月10日付厚生労働省医政局長事務連絡

禁煙外来、遠隔診療だけの診察も可能に(平成29年7月14日付厚生労働省医政局長発0714第4号より)

さらに、2017年7月に発出された通知(平成29年7月14日付厚生労働省医政局長発0714第4号)では、遠隔診療を電子メールやSNSで行う場合についても、直ちに医師法違反にはならないとの見解が示されたほか、禁煙外来については定期的な健康診断・健康診査が行われていることを医師が確認することを条件に、遠隔診療でのみ診察が行われることが認められました。

厚生労働省の調査によると、禁煙外来に通院する患者のうち、通院が困難などの理由で約6割が途中で治療をやめてしまうことがわかっています。遠隔診療の導入により、この状況も改善されるかもしれません。

平成29年7月14日付厚生労働省医政局長発0714第4号

厚生労働省:平成28年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成29年度調査)の報告案について

遠隔診療にさらなる後押し!(2018年度診療報酬改定)

通知発出による変化に加えて、現在は政府が遠隔診療を強く後押ししています。2016年11月の第2回未来投資会議で安倍晋三首相が遠隔診療の推進を明言したことに加え、11月に公表された2018年度診療報酬改定の基本骨子案では、ICTを活用した遠隔診療を評価する方針が示されました。遠隔診療の診療報酬の低さが遠隔診療普及の足かせとなっていると考えられていますが、診療報酬制度の動向次第では普及が加速すると考えられます。今回の診療報酬改定の基本方針は、12月上旬ごろ決定する見込みです。

厚生労働省:平成30年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)

遠隔診療の歴史と今後

遠隔診療は、平成9年の遠隔診療通知(平成9年12月24日付政発第1075号厚生省健康政策局長通知)で初めて医師における「診察」となり得るとの解釈が示されましたが、運用上の条件が厳しかったことから、あまり普及しませんでした。しかし、平成27年8月10日付事務連絡によって、先の通知で示された地理的条件、疾病が例示であることが明らかとなり、遠隔診療を導入する医療機関、サービスに参入する企業が大幅に増えました。2018年度診療報酬改定でも、遠隔診療にかかる報酬が見直される予定であることから、今後さらに普及すると予想されます。

遠隔診療にご興味をお持ちであれば、プロアスまで

プロアスでは2017年9月20日にオンライン診療アプリ「CLINICS」(クリニクス)を企画・開発する株式会社メドレー(※)と販売取次店契約を締結いたしました。

<プレスリリース>株式会社メドレーとオンライン診療アプリ「CLINICS(クリニクス)」の販売取次店契約を締結

 

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